マンションに長く住んでいると、「大規模修繕」という言葉を耳にするようになります。
でも、「そもそも何をするの?」「いつやるの?」「お金はいくらかかるの?」など、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「大規模修繕ってなあに?」という基本的な問いから、目的・実施のタイミング・費用の目安・進め方のポイントまで、やさしく解説します。
■ 大規模修繕とは?
大規模修繕とは、マンションの外壁や屋上防水など共用部分を中心に、建物の劣化を抑え寿命を延ばすために行う大規模な修繕工事のことです。
多くの場合、足場を組んで行う外装中心の工事が該当します。
具体的には、以下のような工事が行われます:
- 外壁の補修や塗装
- 屋上やバルコニーの防水工事
- 手すりや鉄部の塗装
- 廊下やバルコニー床の防滑シート貼り替え など
※なお、給排水管や電気設備の更新工事などは「設備改修工事」として区別されるのが一般的ですが、大規模修繕と同時期に実施されることもあります。
■ なぜ必要?―劣化の予防と資産価値の維持
マンションは時間の経過とともに、紫外線や風雨の影響で少しずつ劣化していきます。
ひび割れや防水層の劣化を放置すると、雨漏りやコンクリートの剥落など、安全性にも影響が出る恐れがあります。
また、きちんと修繕が行われているかどうかは、資産価値に大きく影響します。
購入希望者は管理状況や修繕履歴を必ずチェックします。しっかりとした修繕は、将来の売却時にもプラスになります。
■ 実施の周期:おおむね12~15年ごと
国土交通省のガイドラインでは、大規模修繕はおおむね12~15年ごとに実施することが推奨されています。
ただし、劣化の進み方はマンションによって異なるため、建物調査(劣化診断)を踏まえて時期を判断することが大切です。
【周期の目安に影響する要素】
- 地域の気候(塩害や凍害など)
- 建物の構造・規模
- 使用している材料や施工品質
- 前回修繕時の対応範囲
- 管理の状態(清掃・定期点検の有無)
■ 費用の目安と準備
大規模修繕の費用は建物の規模や工事内容によって異なりますが、1戸あたり80万~120万円程度が一般的な目安です。
【主な費用の内訳】
- 足場や仮設工事費
- 外壁・防水・塗装などの工事費
- 工事監理費(設計監理者を起用する場合)
- 共用部の仮設や近隣対応費などの諸経費
原則として「修繕積立金」で対応しますが、不足する場合は一時金の徴収や借入れが必要になることもあります。
そのためにも、日頃からの積立と計画の見直しが重要です。
■ 進め方と注意点
① 工事業者の選定は慎重に
大規模修繕では数千万円単位の費用がかかることもあり、相見積もり(複数社比較)と提案内容のチェックが必須です。
金額だけでなく、保証内容・工期・過去実績などを比較検討しましょう。
② 設計監理方式と責任施工方式
大規模修繕には主に2つの方式があります:
- 設計監理方式:第三者の建築士が設計・監理を行い、施工会社とは別に契約する方式。
→ 中立性が高く、内容の妥当性チェックができるため、国のガイドラインでも推奨されています。 - 責任施工方式:施工会社が調査・提案・施工・監理を一括で担う方式。
→ 現在はこちらの方が主流で、小規模マンションでは費用や体制の都合から採用されることが多くなっています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、マンションの規模や状況に応じて適切な方式を選ぶことが大切です。
③ 合意形成と情報共有
特に自主管理や小規模なマンションでは、居住者の理解と協力が工事成功のカギになります。
修繕委員会を設けたり、定期的な説明会を開いたりすることで、トラブルを未然に防げます。
■ まとめ:早めの準備と計画が成功のカギ
大規模修繕はマンションの「健康診断と治療」のようなもの。
建物を長く快適に使い続けるためには、定期的な修繕と住民の合意形成が欠かせません。
早めの準備と専門家のアドバイス、住民同士の協力によって、費用も負担も抑えながら進めることができます。
■ 当社のサポート内容
当社では、小規模マンション・自主管理マンションの大規模修繕に関するご相談を数多く承っております。
- 長期修繕計画の見直し
- 修繕積立金のシミュレーション
- 設計監理者や施工会社の紹介
- 総会・説明会の運営支援
- 一部委託・スポット相談にも対応
「何から手をつけてよいか分からない」「施工会社をどう選べばよい?」という方も、お気軽にご相談ください。
柔軟なサポートで、管理組合の主体的な運営を支えます。