【2025年版】マンション管理会社比較ランキング|失敗しない5つの重要ポイント

マンションの理事会のメンバーと管理会社の担当者が、建物の模型を前に笑顔で握手をしている様子。良好なパートナーシップを象徴し、読者が自身のマンションに最適な管理会社を見つけた後の、明るい未来と資産価値の維持向上をイメージさせます。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

現在のマンション管理会社に、対応の遅さやコスト面で不満はありませんか?「もっと良い会社があるはず」と感じつつも、膨大な選択肢を前にどこから手をつければ良いか分からず、お困りの管理組合役員の方も多いでしょう。管理会社の選定は、マンションという大切な資産の価値を左右する重要な決断です。

この記事では、宅地建物取引士の視点から、単なるランキング紹介に留まらない「失敗しないマンション管理会社の比較方法」を、法的根拠と実務上の注意点を踏まえて徹底解説します。企業の系統別の特徴、管理委託費のチェックポイント、そして管理会社変更(リプレイス)の具体的な手順まで、網羅的にご紹介します。

この記事を読み終える頃には、あなたのマンションに最適なパートナー企業を見つけるための、明確な羅針盤を手に入れているはずです。

※本稿は「分譲マンション(区分所有)の管理」を対象とします。賃貸物件経営の「プロパティマネジメント(PM)」や、建物の清掃・設備点検のみを行う「ビルメンテナンス(BM)」とは専門領域が異なりますのでご注意ください。

【結論】失敗しないマンション管理会社選び、3つの鉄則

マンション管理会社選びで後悔しないためには、外部の情報を鵜呑みにせず、ご自身のマンションに合った基準で判断することが不可欠です。最初に、押さえておくべき3つの鉄則をお伝えします。

  1. ランキングや評判を鵜呑みにしない:受託戸数の多さや満足度の高さは、あくまで参考指標の一つです。会社の規模と、あなたのマンションへのサービスの質は必ずしも比例しません。
  2. 自マンションの「課題」を明確にする:コスト削減が最優先なのか、長期修繕計画の見直しが必要なのか、住民間のコミュニケーション活性化を図りたいのか。課題によって選ぶべき会社の強みは異なります。
  3. 比較の「軸」を持つ:管理委託費の内訳、フロント担当者の経験、緊急時対応体制など、何を重視するのか、組合内で事前に比較の軸を定めておくことが成功の鍵です。

これらの鉄則を念頭に、具体的な比較検討のステップに進んでいきましょう。

マンション管理会社の種類と特徴|3つの系統を徹底解説

マンション管理会社は、その成り立ちから大きく3つの系統に分類できます。それぞれの特徴を理解することで、自マンションの特性や課題に合った会社を見つけやすくなります。

デベロッパー系:ブランド力と技術連携が強み

マンションを分譲した不動産会社のグループ企業が運営する管理会社です。

  • メリット
    • 親会社のブランド力による信頼性・安心感がある。
    • 分譲時の図面や設備情報を豊富に保有しており、建物の構造を熟知している。
    • 大規模修繕やトラブル発生時の技術的な連携がスムーズ。
  • デメリット
    • 管理委託費が比較的高額な傾向がある。
    • 親会社の意向が強く、仕様や業者選定の自由度が低い場合がある。
  • 代表的な会社例:三井不動産レジデンシャルサービス、三菱地所コミュニティ、野村不動産パートナーズなど。

独立系:柔軟な対応とコスト競争力が魅力

特定の親会社を持たず、マンション管理を専門に事業展開している会社です。

  • メリット
    • 独自のノウハウを蓄積しており、管理組合の個別の要望に柔軟に対応しやすい。
    • 競争原理が働きやすく、管理委託費が比較的安価な傾向がある。
    • 系列に縛られないため、業者選定の自由度が高い。
  • デメリット
    • 会社の規模や経営基盤に差が大きい。
    • 価格競争力を維持するため、フロント担当者一人あたりの担当物件数が多い場合がある。
  • 代表的な会社例:日本ハウズイング、合人社計画研究所など。

ビルメンテナンス(BM)系:建物・設備の維持管理のプロ

元々オフィスビルや商業施設の清掃、設備管理を主業務としてきた会社が、分譲マンション管理に参入したケースです。

  • メリット
    • 清掃、消防設備点検、エレベーター保守など、建物・設備の維持管理(ハード面)に強い。
    • 専門的な有資格者を多く抱えている。
  • デメリット
    • 管理組合の運営サポートや住民対応(ソフト面)の経験が浅い場合がある。
    • 会計業務や総会支援などの事務管理業務のノウハウが少ない可能性がある。
  • 代表的な会社例:東急コミュニティーなど(同社はデベロッパー系とBM系の両方の側面を持つ)。

あなたのマンションはどのタイプ?
新築でブランドイメージを重視するなら「デベロッパー系」、コストや運営の自由度を求めるなら「独立系」、築年数が古く建物維持が課題なら「BM系」も選択肢に入ります。

【注意】ランキング情報の正しい見方と限界

管理会社を選ぶ際、受託戸数や顧客満足度のランキングを目にすることが多いですが、これらの数字を鵜呑みにするのは危険です。ここでは、データの裏側を読むための視点を提供します。

受託戸数ランキングから分かること

受託戸数は、その会社の事業規模や経営の安定性を測る一つの指標です。戸数が多い会社は、スケールメリットを活かしたサービス提供や、豊富な事例に基づいたノウハウを持っている可能性があります。

しかし、戸数の増減だけで企業の良し悪しは判断できません。例えば、戸数が急増している会社は、積極的な営業戦略が成功している一方、現場のフロント担当者の体制が追いついていない可能性も考えられます。逆に、戸数が減少している場合でも、サービスの質を維持するために採算の合わない物件との契約を見直した結果かもしれません。

顧客満足度ランキングから分かること

顧客満足度は、実際にサービスを利用している居住者の「質」に対する評価を知る上で参考になります。会社の規模とサービスの満足度は必ずしも比例しないため、規模の小さい会社でも高い評価を得ているケースは多くあります。

ただし、満足度は個人の主観に左右される側面もあり、評価項目も調査によって様々です。ランキングはあくまで市場での立ち位置を示す参考情報と捉え、最終的にはご自身のマンションの課題解決に繋がるかを基準に判断することが重要です。

管理会社を客観的に比較する6つの重要ポイント

複数の候補会社から見積もりや提案を受けた際、どこを比べればよいのでしょうか。感情論やイメージに流されず、客観的に比較するための6つの重要ポイントを解説します。

ポイント1:管理業務の範囲と質

提案されている業務内容を細かく確認しましょう。

  • 事務管理業務:理事会・総会の支援(資料作成、議事録案作成など)はどこまで含まれるか。
  • 管理員業務:勤務形態(常駐、日勤、巡回)、受付時間、業務内容。
  • 清掃業務:日常清掃・定期清掃の頻度、範囲、仕様。
  • 建物・設備管理業務:法定点検の種類、緊急時対応の体制。

ポイント2:管理委託費の「内訳」の透明性

管理委託費は、管理組合が管理会社に支払う業務対価です。決して安さだけで選んではいけません。

危険な見積書:「管理委託費一式 月額 300,000円」
→これでは何にいくらかかっているか不明で、他社との比較ができません。
確認すべき見積書:「管理委託費 月額 300,000円」
【内訳】
・事務管理業務費:80,000円
・管理員人件費:150,000円
・清掃業務費:50,000円
・建物設備管理費:20,000円

「一式」の見積もりは絶対に避け、必ず詳細な内訳を提出してもらいましょう。特に安価な見積もりの場合、将来の大規模修繕工事などで利益を確保しようと考えているケースもあるため、注意が必要です。

ポイント3:フロント担当者の専門性と対応力

管理組合との窓口となるフロント担当者の質は、管理の質を大きく左右します。

  • 保有資格:管理業務主任者、マンション管理士などの国家資格を持っているか。
  • 経験と担当数:経験年数や、一人あたりの担当物件数(業界では20件を超えると多いと言われることもあります)。担当数が少なければ、それだけ一つの組合にかけられる時間が増えます。
  • 提案力:マンションの課題に対し、具体的な改善提案をしてくれるか。

見積もり提出時やヒアリングの際に、実際に担当予定のフロント担当者と面談し、人柄や相性を見極めることが重要です。

ポイント4:緊急時対応と危機管理体制

水漏れ、火災、エレベーターの故障といった緊急事態や、台風・地震などの自然災害時に、迅速かつ的確に対応できる体制が整っているかは極めて重要です。

  • 24時間365日対応のコールセンターはあるか。
  • 緊急時の出動体制はどうなっているか。
  • 災害時の対応マニュアルや安否確認の仕組みは整備されているか。

ポイント5:公的評価制度の正確な理解(重要)

「マンション管理適正評価制度」という制度がありますが、これは管理会社を評価・格付けする制度ではありません

  • 評価対象:評価されるのは「マンション(管理組合)の管理状態」です。
  • 評価主体:一般社団法人マンション管理業協会などです。
  • 目的:管理組合が自らの管理レベルを客観的に把握し、市場に公表するための仕組みです。
  • 活用法:この制度への登録支援をサービスに含めている管理会社は、管理組合の資産価値向上に積極的であると考えることができます。候補の会社がこの制度の活用を支援してくれるか、という視点で確認すると良いでしょう。

ポイント6:信頼性の確認(行政処分歴など)

候補企業の信頼性を客観的にチェックすることも大切です。国土交通省は、過去に行政処分を受けた宅地建物取引業者等の情報を公開しています。

  • 確認方法:国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で、候補企業の商号(会社名)を入力して検索します。ここで処分歴が確認された場合は、その内容を慎重に吟味する必要があります。

管理会社変更(リプレイス)の全手順と成功のコツ

実際に管理会社を変更する際の手順と、スムーズに進めるためのコツを解説します。

ステップ1:現状の課題整理と理事会での合意形成

まず、現在の管理会社の何に不満があるのか(コスト、対応、提案力など)を具体的にリストアップし、理事会で「管理会社の変更を検討する」という方向性について合意を形成します。

ステップ2:候補先の選定と相見積もり依頼(2〜3社が鉄則)

これまでの情報を基に、候補となる管理会社を2〜3社に絞り込み、見積もりを依頼します。

なぜ2〜3社なのでしょうか。実は、見積もり作成は管理会社にとって非常に大きな負担がかかるからです。管理会社は、数回の現地調査、清掃や各種点検業者との打ち合わせ、会計状況の確認などを経て、ようやく一つの見積もりを作成します。

特に20〜40戸程度のマンションで5社も6社も相見積もりを取ろうとすると、手間がかかる割に受注できる確率が低いため、管理会社側から敬遠され、質の低い提案しか出てこない可能性があります。真剣に検討していることを示し、質の高い提案を引き出すためにも、候補は厳選しましょう。

ステップ3:提案内容の比較検討とヒアリング

各社から提出された提案書と見積書を、「6つの重要ポイント」を基に比較検討します。必ず各社の担当者を理事会に招き、プレゼンテーションと質疑応答(ヒアリング)の機会を設けましょう。

ステップ4:総会での決議(普通決議が原則)

理事会として候補会社を1社に絞り込んだら、管理組合の総会に議案として上程し、組合員の承認を得ます。

管理会社の変更は、法律上「管理者の選任・解任」に準じると考えられ、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第39条に定められる「普通決議」(区分所有者および議決権の各過半数)で可決するのが一般的です。

【最重要】ただし、マンションのルールブックである「管理規約」で、より厳しい決議要件(例:特別決議=区分所有者および議決権の各4分の3以上)が定められている場合があります。手続きを進める前に、必ずご自身のマンションの管理規約を確認してください。

(根拠:区分所有法、マンション標準管理規約)

ステップ5:現管理会社との解約と新会社との契約・引き継ぎ

総会で承認されたら、新管理会社と管理委託契約を締結し、現管理会社へ解約を通知します。この際、現行の管理委託契約書に定められた解約予告期間(例:3ヶ月前まで)を必ず確認し、契約に則って手続きを進めてください。

その後、会計資料や各種点検報告書、住民名簿などの引き継ぎ業務が行われます。

まとめ:あなたのマンションに最適なパートナーを見つけるために

マンション管理会社の比較・選定は、ランキングや知名度だけで判断するのではなく、多角的な視点で行うことが成功の鍵です。

  • 系統を理解する:デベロッパー系、独立系、BM系の特徴を知り、自マンションの課題に合ったタイプを見極める。
  • データを正しく読む:受託戸数や顧客満足度はあくまで参考指標。数字の裏側にある意味を考える。
  • 客観的な軸で比較する:管理委託費の内訳、フロント担当者の質、信頼性など、事前に定めた6つのポイントで冷静に評価する。
  • 手順と法規を遵守する:リプレイスは、理事会の合意形成から総会決議まで計画的に進める。相見積もりは2〜3社に絞り、決議要件や解約手続きは必ず管理規約と現契約を確認する。

管理会社は、マンションという大切な資産を共に維持していく重要なパートナーです。この記事が、あなたのマンションにとって最適なパートナーを見つけるための一助となれば幸いです。


免責事項

本記事は、マンション管理会社の選定に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の企業を推奨するものではありません。また、個別具体的な案件に対する法的な助言を行うものではありません。管理会社の変更に関する法的手続きや契約内容については、必ず弁護士やマンション管理士等の専門家にご相談いただくとともに、最新の法令やご自身のマンションの管理規約を最優先にご確認ください。本記事の情報は、2025年10月28日時点のものです。

参考資料

  • e-Gov法令検索. 「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」. <https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069>
  • 国土交通省. 「マンション標準管理規約(単棟型)」. <https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html>
  • 国土交通省. 「ネガティブ情報等検索サイト」. <https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/soseisaku/negadb/>

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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