🏙 建て替えを視野に入れる前に ― 今こそ問われる“管理”と“延命”の重要性

■ はじめに:建て替えは「夢」ではなく「現実の選択肢」へ…でもその前に
近年、老朽化マンションの増加とともに「建て替え」という選択肢に関心が集まっています。国土交通省の発表でも、築40年以上の分譲マンションは年々増加しており、2030年には全国で120万戸を超えると見込まれています。
とはいえ、建て替えには莫大な費用、住民間の合意形成、仮住まいの確保など、多くのハードルが伴います。特に小規模マンションや自主管理の物件にとって、現実的な選択肢とは言い難いケースがほとんどです。
そのような今だからこそ、「まずは延命と管理の質を高め、将来の選択肢を広げる」という考え方がますます重要になってきています。
■ “延命”とは「修繕を先送りする」ことではない
延命という言葉に対して、「できるだけ費用をかけずに先延ばしする」というイメージを持たれることがあります。しかし、実際にはその逆で、必要な修繕や設備更新を適切な時期に実施することこそが、延命の本質です。
例えば、大規模修繕工事を計画的に行うことで、躯体コンクリートや鉄筋など建物の重要な構造部分の劣化を抑え、状態を良好に保つことができます。逆に、修繕の先送りが続けば、劣化は進行し、いずれは建て替え以外に選択肢がなくなるというケースも珍しくありません。
そのためには、以下のような対応が重要になります。
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長期修繕計画を現実に即して見直すこと
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劣化の兆候を早期に発見する管理体制を整えること
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理事会が修繕の必要性を正しく判断できる環境をつくること
計画的な修繕と実行力が、マンションの延命を支える鍵です。
■ 小規模マンションほど「管理の質」が将来を左右する
特に20戸未満の小規模マンションでは、建て替えを進めるうえで必要となる資金や合意形成が難しく、「延命によって選択肢を残す」ことが現実的なアプローチとなります。
ただし、小規模マンションは運営面での人手不足や専門性の欠如、費用負担の重さといった課題を抱えやすく、管理の質が問われる場面も多くあります。
こうした背景から、当社では以下のような柔軟な管理サポートをご提供しています。
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会計や総会運営のみの「部分委託」
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必要なときだけの「スポット支援」
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外部専門家による管理(第三者管理)方式の導入支援
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長期修繕計画や管理規約の見直しサポート
「全部委託」だけに頼らず、必要な部分を必要なタイミングでサポートすることで、小規模物件でも無理なく安定した管理体制を整えることができます。
■ 延命の先にある「建て替え」という現実的選択
もちろん、将来的に建て替えを検討すること自体は悪いことではありません。むしろ、延命によって建物の状態が良好に保たれ、居住者間の信頼関係や管理体制が整っていれば、建て替えの議論もより現実的に、前向きに進められる可能性が高まります。
建物の状態を適切に維持し、管理体制を整えておくことで、初めて――
「建て替えを検討するのか、それとも修繕や耐震補強などの手段で延命を図るのか」といった将来の選択肢を、冷静かつ現実的に検討することが可能になります。
■ 管理を見直す“今”が、マンションの未来を決める
老朽化は避けられない現実ですが、適切な管理と計画的な修繕を続けていけば、資産価値と住環境は長く保つことができます。
私たちは、こうした管理組合の悩みに寄り添い、以下のようなサポートを行っています。
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総会・理事会の円滑な運営支援
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長期修繕計画の点検と再構築
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外部管理者方式(第三者管理)の導入サポート
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必要な業務だけを選べる柔軟な委託プラン
どこから手をつけていいかわからないという管理組合の方も、まずは一度ご相談ください。マンションの現状と将来をふまえた、最適な管理のあり方をご提案いたします。
■ おわりに:選択肢を失わないために「今できる管理」を
「まだ建替えなんて先の話…」――そう思うことは当然です。だからこそ、「将来、建て替えを“選べる状態”を残しておくには何が必要か」を考えることが、今もっとも現実的な取り組みと言えるのではないでしょうか。
延命と管理の質の向上は、建物の未来を守る最初の一歩です。
📋 この記事を書いたのは…
株式会社MIJ 建物管理部 杉浦(マンション管理士・二級建築士)
不動産業界に従事して13年。現在は小規模マンションや自主管理組合のサポートに注力しています。
本年より自身も居住しているマンションの理事長に就任。首都圏の実情に即した現場支援をモットーに、日々管理組合の課題解決に取り組んでいます。